若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「では、頼んだものをお願いします」

「そうでございました。すぐにお持ちいたします」

 多田さんが部屋を出て、絢斗さんはソファに戻っていく。

「若旦那さま、いくらかかると思っているんですか? ポンポン買っちゃって」

「破産はしないから気にしないでいい。座ってコーヒーを飲めよ」

 私は顔をしかめて、絢斗さんの隣に腰を下ろしてコーヒーを口にした。

 多田さんはすぐに戻ってきたが、別の男性を連れてきていた。

 男性は私たちの前に立ち挨拶をすると、四角い箱をテーブルの上に置き、見えるように開ける。

 箱が開かれた瞬間、私は息を呑んだ。

 ずらりと並んだダイヤモンドの指輪の数々に。

「婚約指輪を選んでくれ。もしかしてこれも選べない?」

「絢斗さんは浪費家なんですか?」

 つい名前で呼んでしまった。

「婚約者に贈るものを、浪費と言わない」

「……私が選びます」

 本当に彼の妻になれるのか、ううん。私が御子柴屋の若奥さまとしてやっていけるのか、決まっていないのに複雑な心境だ。
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