若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
 気づけばここに一時間以上いて、自分のことばかり話をしていた。

「そろそろ出ようか」

 絢斗さんの合図で私は椅子から腰を上げた。

 ハンバーガーショップを出ると、絢斗さんは腕時計へ視線を落とし時間を確認する。

「澪緒、アルコールは?」

「まあまあ飲めます」

「じゃあ少し付き合ってくれ」

 絢斗さんは大通りに出て、近くの高級ホテルのバーへ連れていった。三十八階にあるおしゃれなバーだ。

 絢斗さんは常連のようで、年配の男性スタッフがにこやかに挨拶をして席へ案内する。

 眺めのいい大きな窓際のソファ席に座り、メニュー表を見て目が飛び出そうなほど驚いた。

「カクテルが一杯五千円っ!?」

「それくらいで驚くな。君は御子柴屋の若奥さまになるんだからな。どんなのが好きなんだ?」

「じゃ、じゃあこれで」

 絢斗さんがいいと言うのならと、五千円するカクテルを指した。

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