若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
男性スタッフに絢斗さんがオーダーし、彼が去っていくと私は口を開く。
「御子柴屋がかなり古い――」
「老舗」
「そう、その老舗なんだとわかるけれど、頻繁にお客さまが来るわけじゃないし、従業員も結構いるし、あなたはたくさんお金を使っているし、経営は大丈夫なんですか?」
次の瞬間、絢斗さんは笑いをこらえきれなくなったように拳を口元に当て、笑い始めた。
「クッ、一億円を心配しているのか?」
「そんなんじゃなくてっ、お金遣いの荒いあなたを心配しているんです」
「なかなか堅実だな」
そこへカクテルグラスに入った綺麗なエメラルド色のカクテルが目の前に置かれた。絢斗さんの前には丸い氷と琥珀色のバーボンのグラスが。
私のカクテルからほんのり花とアールグレイティーの香りがする。メニューを見たところ、コニャックとホワイトラムが入っているので度数はかなりのものだろう。
「心配はいらないとだけ言っておこう。これでも年商はよその呉服屋に比べてもトップクラスだ」
自信ありげな表情に、ホッと胸をなでおろす。
「御子柴屋がかなり古い――」
「老舗」
「そう、その老舗なんだとわかるけれど、頻繁にお客さまが来るわけじゃないし、従業員も結構いるし、あなたはたくさんお金を使っているし、経営は大丈夫なんですか?」
次の瞬間、絢斗さんは笑いをこらえきれなくなったように拳を口元に当て、笑い始めた。
「クッ、一億円を心配しているのか?」
「そんなんじゃなくてっ、お金遣いの荒いあなたを心配しているんです」
「なかなか堅実だな」
そこへカクテルグラスに入った綺麗なエメラルド色のカクテルが目の前に置かれた。絢斗さんの前には丸い氷と琥珀色のバーボンのグラスが。
私のカクテルからほんのり花とアールグレイティーの香りがする。メニューを見たところ、コニャックとホワイトラムが入っているので度数はかなりのものだろう。
「心配はいらないとだけ言っておこう。これでも年商はよその呉服屋に比べてもトップクラスだ」
自信ありげな表情に、ホッと胸をなでおろす。