若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「……まあ、いいでしょう。こんな簡単な教材はできて当然です。用事ができたので、お稽古はこれで終わりにいたしましょう」

 今日はこれで終わり。

 嫌みは右から左に流れ、顔がニヤけそうになるのを必死にこらえて、「ありがとうございました」と頭を下げた。

 すると、おばあさまは目をつり上げて私の横に正座する。

 また気に障ることをしちゃった……?

「澪緒さん、こちらをお向きなさい」

「は、はい」

 座布団の上でおばあさまの方へ向きを変える。

「こういったときは指を畳について、こうして頭を下げるのですよ。まったく、一から教えなければできないなんて」

 呆れた口調のおばあさまに口答えすることなく、私は言われた通りに畳に指をつけ、「申し訳ありません。ありがとうございました」と頭を下げた。

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