若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「なるほど……学歴は合格点だな。よかった。これで祖母の目的は果たされた。これからのことを決めてから戻っても遅くはない」

 学歴は合格点……? パパの手紙に書いてあったの?

「……これからのこと?」

 仕方なく彼の椅子に近いベッドの端に座ると、切れ長の涼しげな眼差しとぶつかる。

「俺は君が気に入った。はるばるロスから来たのなら遊び半分ではないのだろう。君の英語はこれからの御子柴屋にとって有益になる」

「私の英語が?」

「ああ。時々見えられる各国大使館員の奥さまへの接客や展示会などで英語が話せる者がいるのは都合がいい。俺以外うちで話せる従業員はいないからな」

 彼は私をビジネスの材料と思っているんだ。

「私を従業員として……?」

「婚約者としてだ。君の父親の会社と業務提携してもいいと考えている」

「それは……」

 父の本心を知った今、私は父に対して腹を立てている。業務提携などしてほしくない。だから、彼の申し出はきっぱり断らなければならない。

「それは?」

「私はあなたと婚約はしません」

「理由は? 俺に見初められるために来たんだろう?」

 彼は体の前で腕を組み、余裕の表情で私を見つめている。

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