若旦那様は愛しい政略妻を逃がさない〜本日、跡継ぎを宿すために嫁入りします〜
「違います。もちろん手書きです。それから、そういった口の利き方はおやめなさい。お礼状はパソコンでしょうか?と、言いなさい」

「はい。ごめんなさい」

 謝る私に、おばあさまはキッときつい目を向ける。

「ごめんなさい、ではなく、申し訳ありませんでした、ですよ。そんな話し方ではお客さまを不快にさせてしまいます。まったく、なにも知らない娘を選ぶなんて絢斗さんはどうかしていますよ」

 私に苛立ちを隠せないおばあさまだ。

「お作法がなっていませんね。華道、茶道も習うのですよ」

 そのふたつもなんなのかわからなくて、重いため息が出そうになる。

 とにかく習うことがたくさんってことだ。

「下がっていいわ。わが家の夕食は八時半ですから、それまでこちらを読んでいなさい」

 テーブルの上に積まれていた本を示される。十冊はありそうだ。

「はい」

 本を抱え込んでそのまま応接室を出ようとすると、背後でこれ見よがしの大きなため息が聞こえてきた。

 いちいち気にしていたらキリがない。

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