エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 そうとは想いながらも、これまでこんな経験なんてなかったせいで、そんな些細な言葉をイチイチ真に受けてしまうのだから、どうしようもない。

 私がこんなにも心を乱されてるっていうのに、窪塚のなかで大半を占めているだろう例の幼馴染みとは違って、何人かいたセフレのひとりに過ぎない私のことなど、時が経てば微塵も残ってなどいないのだろう。

 導き出した結論に、ますます惨めな心持ちになってくる。

「……あっ、そう。それはよーございましたねぇ。フンッ!!」

「なんだよ、そんなに怒ることねーだろ」

「もー、ヤダ。いい加減離してッ!」

 もういてもたってもいられなくなってきて。

 屋外に出てからも、相も変わらず私の手を大事そうに包み込んでいる窪塚の手を交差点まであと数歩というところで、力任せに振り払っていた。
< 125 / 353 >

この作品をシェア

pagetop