エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 驚いた私が起き上がろうとすると、その振動でも伝わってしまったのだろうか。

 窪塚が「んんっ」と普段よりあどけなく見える寝顔を僅かに歪ませ身動ぎしたので、じっと息を潜めて窺うも、しばらく経っても、起きる気配は見受けられない。

 偽装工作という名の初デート中には、疲れた顔なんて露も見せなかったけれど、タフな窪塚もやっぱり日頃の忙しさのせいでずいぶんと疲れていたのだろう。

 起こさずに済んだことにホッとしつつも、初めて目にする窪塚の寝顔が思いの外可愛く見えてしまったものだから、私の目は釘付けになってしまっている。

 ーーか、可愛い。いくらでも眺めていられそうだ。

 意識を手放す寸前、窪塚への本当の気持ちを自覚した途端に、こんなことでイチイチ恋する乙女みたいな思考になってて、私、大丈夫なんだろうか……。

 いくら自分の気持ちに気づいたところで、窪塚にとって私は画像で脅してセフレにされちゃうくらいの存在でしかないのに。

 それに、『恋愛なんて仕事の邪魔になるだけだろ』とも言っていたし。

 もしもこの想いに勘づかれちゃったら、そこで終わりなんじゃないのかな。

 なんじゃないのかな……じゃなくて、終わりに違いない。

 ーーだとしたら、この気持ちは胸の奥深くに封印して、気づかれないようにしないと。

 でも、まだ窪塚は起きないようだし、寝ている間くらいいいよね。
< 132 / 353 >

この作品をシェア

pagetop