エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
その後、依然ベッドに背を預けたままの窪塚によって、三年前のことを彷彿とさせる、ぶっきらぼうな声で気遣われることとなったのだが。
「お前、身体のほうは大丈夫なのか? 体調悪いならそのまま寝てろよ。心配しなくても、体調悪いお前のこと襲ったりしねーし。俺ならどこででも寝られるからさぁ。んじゃ」
事故のことには一切触れず、当たり障りのないことだけ言うと、そのまま立ち上がって、こちらを見ずに出て行こうとする窪塚。
おそらく、三年前のことがあるから、あまり踏み込まずに、そっとしておいてくれようとしているのだろう。
でも私としては、これを機に、今更かもしれないけど、それでもあの時のことを窪塚に詫びたいという気持ちがある訳で。
怯んでしまいそうになる己をなんとか奮い立たせ、私は今一度重い口を開いた。
「窪塚、待って。あれでしょ、三年前のことがあるから敢えて何も訊かずにいてくれてるんでしょ?」
勿論、あの時のことを詫びたからといって、なかったことになるわけじゃないし、いくら事情があったとはいえ、あんな酷い仕打ちをしたのだ。
窪塚に許してもらえるという保証なんてない。
――ただ、窪塚との間に生じてしまっているわだかまりを少しでも取り除きたい。
そんな想いからだったのだ。
けれども、窪塚にとってはそうではなかったらしい。
「……三年前のことって……あぁ、悪い。今の今まで忘れてたわ。そんな昔のことイチイチ気にしてねーで、さっさと寝ろよ。じゃあな」
今の今までずっとあの時のことを引きずってきた私とは違って、あの時のことを今の今まで覚えてもいなかったらしい窪塚の言葉に、胸がキューッと締め付けられて痛くて痛くて泣いてしまいそうだ。