エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「あっ、まぁ、確かに、急に意識飛んで驚きはしたけど、それは別に。けど、お前が気絶してたお陰でパトカーでここまで送ってもらえたし」
「へえ、そうだったんだぁ」
「あぁ、それに、あの事故の負傷者も――」
幸いなことに、あの事故での負傷者は車の運転手だけだったらしく、その怪我も命に関わるようなものではなかったらしい。
意識を失っていた時の説明も聞き終えたことだし、今度はどうして気絶したかの説明を窪塚にするために私は重い口を開いた。
「実は小さい頃に事故に巻き込まれたことがあって、その時のこと思い出しちゃったみたいで――」
小学生の頃に巻き込まれた事故で、幼馴染みの優くんに助けられてかすり傷で済んだこと。
その事故がトラウマとなって、血が怖くなったこと。
それでも、亡くなってしまった優くんの夢でもあった外科医にどうしてもなりたかったことを話した。
その間、窪塚は真剣に耳を傾けてくれていたようで、静かに口を噤んだままだった。
とはいえ、窪塚は寝起きで気怠いのか私にずっと背中を向けていたからその表情を窺い知ることはできなかったのだけれど。
「……そうか」
私の話を聞き終えた窪塚の反応が思いの外薄かった気がしないでもないが、話の内容が衝撃的なものだっただけに、返す言葉が見当たらなかったようで、言葉少なにそう返してくれていた。