エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 窪塚にどういう心境の変化があったのかは不明だが。運がよければ、久しぶりに窪塚と話す機会があるかもしれない。

 そう思っただけで、睡眠不足気味の心も身体もたちどころに軽やかになるのだから本当に不思議だ。

 ーー今ならなんだってできる気がする。

 最近、覚えたナチュラルメイクを施した自分の顔と、八月を目前に控えた夏の季節にピッタリな爽やかな淡いブルーのおしとやか系の上品なワンピースに身を包んだ自分の姿とを、姿見鏡に映して確認しつつ、最後の仕上げに、窪塚にプレゼントしてもらったイヤーカフをつけて準備完了。

 この前の休日に彩に選んでもらったワンピだし、メイクも彩に教えてもらったとおりちゃんとできてると思う。

 ーー少しは可愛くなれてるはず。

 窪塚の好みがどうなのかは分からないけど、彩が『大抵の男はナチュラルメイクが好きだから大丈夫。鈴は私のことを信じてもっと自信持ちなさい』って太鼓判押してくれたんだし、きっと大丈夫。

 最後に鏡に映っている自分にそう言って暗示をかけて、今度こそ準備完了。

 ーーよし、行きますか!

 頬を両掌で挟むようにしてパチンと叩くことで気合いを入れて部屋をあとにした。

 そしていつものように出がけに、一階のリビングにいた伯父と伯母に、「いってきま~すッ!」と元気よく声を放った瞬間。

「あれ、今日はまた一段とめかしこんで、もしかしてデートか?」
「あらあら、可愛い。とっても似合ってるわよ〜。鈴ちゃん、デート頑張ってね〜!」

 ふたりからニマニマと気持ち悪い笑顔と冷やかしまで向けられてしまい。

 朝からなんとも気恥ずかしい想いをする羽目になってしまったが、伯母さんからお世辞とはいえ、『可愛い』というお言葉をもらったのでよしとしておく。
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