エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
ーーあの時は窪塚だったけど、さすがに今回は違うんだろうなぁ。
これが小説とかだと、そういうご都合主義的な展開もあるんだろうけど、残念なことに現実世界でそうそう都合のいい展開などあるはずがない。
きっと職員に違いないだろう。
もしそうだとして、こんな場面で出くわしても、職員なら気兼ねして、というか気まずくて、敢えて見て見ぬふりをするかもしれない。
そうなれば、羽田はテコでも動かないだろう。だからって、このままここでこんなことしているのも馬鹿馬鹿しいし。
ーーやっぱり窪塚に会いたい。
いくら会いたいからって、羽田の車に乗るのはどうにも憚られる。
やっぱり欠席するしかないのかなと、諦めの境地に到達しかけた時だった。
あたかもデジャヴのように、どうしたものかと立ち尽くしている私の正面に立っていた羽田がおもむろに顔を上げて、私の背後に視線を投げ、ハッと息を呑むような気配がしてすぐ。
「……羽田……またお前かよ。この前釘刺したばっかだってのに……ったく。お前は。俺に何度、俺の女に近寄るなって言わせれば気が済むんだ?」
ほぼ二週間ぶりに、まともに聞くこととなった窪塚の心底呆れ果てたっていう口ぶりで放たれた、地を這うような低い声音に、こんな場面だというのに、私はたちまち言いようのない安堵感を覚えて、嬉しくてどうしようもなくなってきた。
ちょっとでも気を抜いてしまったら、うっかり今にも泣き出してしまいそうだ。