エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
ひとり感極まってしまっている私を置き去りにして、私たちの眼前まで迫ってきた窪塚を前に、羽田は途端に狼狽え始めてしまっているようだった。
「な、なんで……じゃなくて。お、お疲れ様ですッ。あれ、でも、今日は行けなくなったんじゃ」
「ああ、確かに。昨日の朝まではいけるかどうか微妙だった。けどなんでそんなことお前が知ってんだ? 俺に分かるように説明してみろッ! このくそワンコ」
「……あっ、いや、そのっ」
「フンッ。どうせまた、そのいい子ぶりっ子した可愛い顔で、職員に色目でも使ったんだろ」
「いやだなぁ、誤解ですよ~」
「キモいから語尾を伸ばすなッ!」
「すみませんッ」
「フンッ、それより残念だったな。徹夜したお陰でこの通りなんとか間に合った」
「そ、そうだったんですか。それはそれはお疲れ様でした……はははっ」
なんとか泣かずに済んだ私が立ち尽くしたままふたりのことを見守っていて、分かったこと。それはーー。
どうやら今回のことはやっぱり羽田がすべて仕組んでいたらしいこと。
窪塚がセミナーに参加できるかどうか昨日の朝までは微妙だったこと。
そしてセミナーに参加するために窪塚が徹夜していたらしいこと。
羽田のことはどうでもいいとして、気になるのは窪塚のことだ。