エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

「実はさ、事故に遭ったお前のことを助けた如月優は、俺の父親の妹の子供で、俺にとっては従兄弟になるんだ」
「ーーッ!?」

 まさか、あの優君が、窪塚の従兄弟だなんて、夢にも思わなかった私は、驚きすぎて最早声さえも出せなかった。

 ただただ瞠目したままで、怖いくらいに真剣な面持ちで私の心の中を探ろうとでもするかのように、私の瞳をじっと真っ直ぐに見据えたままでいる窪塚の漆黒の双眸を見つめ返すことしかできないでいる。

 広いリビングダイニングからはすべての音が消え、ただじっと見つめ合ったままでいる窪塚と私の互いの息遣いと鼓動の音とが、密着したままの身体を通して伝わってくる。

 そんななか、再び重い口を開いた窪塚の落ち着いた低い声音が私の耳に届いた。

 窪塚の話によると、小さい頃の窪塚は優君よりも身体が小さく、小児喘息を患っていたこともあって、引っ込み思案な子供だったらしい。

 そんな窪塚にとって、明るくしっかりしていて面倒見の良かった優君は同じ歳でありながら兄貴的存在だったらしく。

 大人になったら、絶対に、優君が叶えられなかった外科医になってみせる。

 勿論父親の影響もあったらしいが、そういう想いで外科医を志すようになったらしかった。

 だから、私が同じように優君の夢を叶えるために外科医を目指していたと知り、かなりショックだったらしい。
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