エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 私の言葉を耳にした刹那、窪塚はこれ以上は強く抱きしめようがないというほどに、強く強く私のことを胸に抱きよせてくれた。

 目一杯抱きしめられているせいで、苦しくて苦しくてどうしようもない。

 けれども、窪塚の身体がわなわなと小刻みに打ち震えいるのが身体に直に伝わってきて。

 もしかしたら感極まって泣くのを必死に堪えているのかもしれない。

 自分の言葉ながら、本当に可愛げがなかったけれど、どうやら私の伝えたかった想いは窪塚にはちゃんと届いてくれたらしい。

 そう思うと、嬉しくて嬉しくて、既にあたたかなもので満たされていたはずの胸が尚もあたたかなもので満たされて、今にも溢れて、もう収まりそうもなくて、決壊してしまいそうだ。

 そこへようやく落ち着きを取り戻せたらしい窪塚からの言葉が届いて、最高潮に到達しかけていた私の心は冷や水を浴びせられることとなる。

「お前に『いつか私のことお嫁にもらってくれないと許さないんだから』なんて言ってもらえる日がくるなんて、ホント夢みてぇ。今すぐお前と結婚して俺だけのものにしてぇけど。それは、親父さんに認めてもらってからだ。それまでは親父さんとの約束守らないとな」
「ーーへ?」

 この期に及んで、思いもよらない言葉を窪塚から返されてしまった私は、拍子抜けを通り越して、唖然としてしまっている。
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