エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
けれどもそれは一瞬のことで、ハッとした窪塚が頭をぶんぶん振ってから、私の両肩を掴んで正面に迫ってくると。
「高梨。俺、熱がぶり返したとかじゃねーよな? 熱、ないよな?」
私の手を取って自分の額へと宛がって、どうやら熱が出ているせいで幻覚でも見てるんじゃないかと思ったようで、それを確かめようとしているようだ。
確かに、高熱を出したと聞いていたし、そう思うのも当然のことかもしれないが。
こっちにしてみれば、折角恥を忍んでおねだりしたというのに、あんまりな態度としか思えなかった。
だから盛大に文句の一つでも言ってやろうと思っていたのに……。
窪塚の額に触れたと同時に、思った以上に熱くなっていたために、吃驚するよりも窪塚の体調のことが真っ先に気にかかり。
「ちょっと、窪塚。アンタすっごい熱じゃないのよッ! こんなことやってる暇があるならちゃんと寝てなきゃダメでしょうがッ!」
いつもの調子で大きな声を放った直後に、何故かいきなり窪塚の胸にぐいっと引き寄せられていて。
「だったら、鈴がずっと傍についててくれよ。じゃないと嫌だ」
耳元を熱い吐息で擽るようにして、熱がぶり返したせいか、いつになく甘さを孕んだ声音でおねだりされてしまっては、私には抵抗などできるはずもなく。
ましてや、さっきと言ってることが違うじゃないと、怒って責めることなどできるわけもなく。
この夜は、思いがけず窪塚の看病に徹することとなったのだった。