エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 でも、そんな天才なんてそうそう居ないだろうし、周りには、勉強なんてやってませんなんて言っておいて、きっと陰では死ぬほど努力していたに違いない。

 クラスに一人はいたわよね。そういういけ好かないタイプが。

 否、そうじゃないのかもしれないけど、そうでも思わなければやってられない。

 この感情が、凡人ゆえの僻みや妬みだってことは自分でもよくわかってるけど。

 兎に角、いつも澄ました顔でしれしれっとしていて、そのクセ、容姿がいいから女子たちからもモテて、どっからどこを見ても劣ったところがない、完璧すぎるこの男の存在自体、そもそも気に食わなかったのだ。

 それもこれも弱点を握られている上に、お持ち帰りされ、セフレなんかにされてしまったんだからなおさらだ。

 ーーあーもう、最悪。

 よりにもよって、当直明けに、どうしてこの男が現れるかなぁ。

 適当に受け流して、気づかれないようにフェードアウトするに限る。

 ーーうん。そうしよう。

 幸いなことに、この男がおじさんの長男である樹先生のオペの助手をしていたことから、おじさんも珍しく真面目な医者モードに切り替わっているようだし。

「おう、それはまた大変だったねぇ。樹先生からもあのオペは難しいとは聞いてたんだけど、どうだった?」
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