堂くん、言わないで。


「みくるはいらないの?」

「……うん」

「あ、そ」


ガコン、と自販機から落ちてきたパックのりんごジュース。

それを手に取ったルナちゃんがとなりに座った。


ここは中庭にあるベンチ。

まだ日差しがキツいので中庭にはほとんどひと気がなかった。


横に座っているルナちゃんは無言でジュースを飲んでいる。


わたしから話し出すのを待っているのかもしれない。

こうして一対一で話すのも、わたしから話を持ちかけるのもひさしぶりで。




「……ごめんね」


とにかく謝らなきゃと思って、謝ったら




「は?ウザ。なに?」


それはそれはいやな顔をされた。




「あんたなにもしてないじゃん。なんで謝んの?そこは謝ってよ、でしょ?なんであんたが謝ってんの?わざわざ呼び出して、そんなことが言いたかったわけ?あたしがなんのためについてきたと思ってんの?ふざけんなよ」



マシンガンも追いつかないような射撃の速さ。


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