堂くん、言わないで。






ここ数日で見事に警戒心が強くなってしまった。


声をかけられるたびに肩をびくつかせ、口元をガードする。

そんなわたしに棗くんは「もう急にはしないから」と苦笑ぎみに言った。



「急にじゃなかったらするの?」

「かもね」

「よし、別行動しよう!」


今日はふたりで買い出しに来ていた。

途中までは一緒に行動していたけれど、なにせ買うものが多い。


衣装は裁縫班に任せるとして、

紙のコップやお皿、プラスチックのスプーンやフォークなど。


なるべく低予算で抑えるため、格安店を巡っていた。


あとは細々とした小道具のみ。



ピックアップしていたお店たちは真反対の方向だった。


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