堂くん、言わないで。
台湾人の店員さんに運ばれてきた料理たちに、なゆちゃんはぱっと目を輝かせる。
熱々の小籠包をすこし冷ましているあいだ、意を決してそっとなゆちゃんを見あげると。
彼女はすでにこちらを見ていた。
「なにか言いたいことあるんでしょ」
「なんでわかるの?」
「当たり前でしょ。だてに中学3年間、一緒に過ごしてないっつーの。みくるの一番の良き理解者を自称してるからね、こっちは」
なゆちゃんはお箸を動かしながらそう言った。
たぶん、わたしが話しやすい状況をつくってくれている。
さりげなくそういうことをするのが上手いなゆちゃん。
わたしはありがとうともう一度お礼を言って、すべてを話すことにした。