堂くん、言わないで。


話し終わる頃には食事も終盤にさしかかっていて。

ごま団子を食べていたなゆちゃんが、ははぁと驚いたように目を丸くする。



「みくるから誰かを好きになるなんて初めてじゃない?」

「ぅ……そう、かも?たぶん、そう」


小学生のとき、中学生のとき。


いい人だなぁカッコいいなぁと思う男の子はいても、好きという気持ちが生まれることはなかった。



「じゃあこれはみくるの初恋だね。今日はみくるの初恋記念日だ」


かんぱーい、とジュースの入ったグラスを掲げたのでわたしもそれに合わせる。

ぐびぐびっと一気に飲み干したなゆちゃんはおかわりを注文していた。



「よっぽどいい人なんだね。その堂恭花とやらは」


によによしながら、なゆちゃんが訊いてくる。



「具体的にどこを好きになったの?」



その質問にわたしは固まってしまう。



どこを。


わたしは堂くんのどこを、好きになったんだろう。


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