君との恋の物語-Reverse-
あれから丸2日間、さぎりからの連絡はない。
本当に待ってくれているみたいだ。
ゆっくり考えられると思う反面、少し寂しい。でも、今はこれでいいんだ。
ちゃんと考えたいから。
思えば本当にタイミングが悪かっただけだ。
前田のことも、さぎりがなんとも思ってないのはわかっている。
俺だけを好きでいてくれていることも。
でも、だからこそ俺は特別の証がほしかったんだ。
お揃いのアクセサリーとか、そんな高価な物じゃなくていい。
俺は、さぎりに告白をして彼氏に選んでもらった時から、「君」ではなくなったんだと思っていた。いや、実際はなくなってるんだ。
単純に証拠がほしいんだ。名前で呼んでほしいんだよ。
これから沢山増えていくであろう思い出を振り返る時がきて、その記憶の中でも「君」と呼ばれていたら寂しいと思わないか?
俺は思うんだよ。だから、ちゃんと呼んでほしい。
それだけだ。簡単だよ。
会ったら、ちゃんと話そう。
前田のことは大した問題ではないけど、嫉妬の対象になったのは、あいつが相当なイケメンで、運動神経もよく、明るく気さくで、人気者だからだ。俺はそんなあいつとはずっと仲が良い。あいつの能力に嫉妬したことなんて、これまで一度もなかった。だって、俺には音楽がある。あいつは運動が得意で、俺は音楽が得意。男同士なんて、それだけで対等でいられる。
今回の厨二さんとのことも、俺とさぎりのことがしっかり解決できれば、協力できると思う。
だから、「嫉妬」の対象じゃなくて理由の話をするべきなんだ。

さぎりはきっと自分からメールをくれると思う。
この間はっきりと、「告白したのは俺からだ」って言ったから。
きっとそのかわりに「今度は自分から」って動いてくれるだろう。。
いや、こなかったらどうしよう。。などと気を揉んでいたらきた。
内容は至って簡単。
「今日の放課後会えないかな?」
一見そっけなくみえるけど、これはさぎりの気遣いだと思う。
内容が簡潔な方が、余計なことを考えずに済むからね。
そう。冷静でいられれば、さぎりの行動の意味も、ちゃんと理解できる。
『大丈夫だよ。雨降りそうだから、この間みたいに教室にする?』
ありがとう。メールくれて。
「公園にしよ?私、学校終わったらすぐいくね」
やっぱり。話し込みたい時は、いつも公園だもんな。

『わかった。俺もすぐいくね。』
そうと決まれば、これ以上待たせる訳にもいかない。
必ず先に行って待っているようにしよう。



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