不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 

『もしもし、牡丹か? 今話してて大丈夫なのか?』

「うん。今、入院する部屋の準備をしてもらっているところ。灯は電話してても大丈夫なの?」

『ああ、ちょうど今、会議が終わったところだ。とりあえず入院に必要なものは用意して持っていくけど、何か他に欲しいものとかあればメッセージを送ってくれ』


 電話の向こうにいる灯は、いつか来る今日という日のために、ネットや本を読んで色々と勉強してくれていた。

 入院グッズだって、あれがあると便利らしいとか、お役立ちグッズを積極的に調べて私に共有してくれたんだ。


「ありがとう。何かあれば、メッセージを送るね」

『ああ、よろしく』

「あ! あとね、今日の十七時に志村先生と森先輩から、今の状況と今後について、ご主人にも説明したいって言われて……。灯、十七時に病院に来ることってできそうかな?」


 一通りの説明を灯に伝えれば、灯は『大丈夫だ』と心強い返事をくれた。


『十七時前には荷物を持ってそっちに向かうよ。とにかく牡丹は先生たちの言うとおり、安静にしてろよ』


 電話が終わると、辺りは静寂に包まれた。

 いよいよ管理入院か……。もう妊婦だとわかるくらいにふっくらとしてきたお腹に手を当てると、お腹の中で元気に動く赤ちゃんの胎動を感じた。

 
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