不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「ありがとう、早かったね」
「いや……本当はもう少し早く来られる予定だったんだけど、先にどうしても寄りたいところがあって寄ってきたから少し遅れた」
「そうなんだ? お疲れ様」
仕事を切り上げてきたらしい灯は、いつものスーツ姿だった。
きっとここに来る前に寄ってきた場所というのも仕事関係のところだろう。
そんなことを考えながら荷物を受け取ったら、不意に灯がスーツの内ポケットから小さな紙袋を取り出した。
「これ、牡丹に」
「え? 見てもいいの?」
キョトンとして尋ねれば、灯は「いいよ」と答えてくれた。
紙袋を手のひらの上でひっくり返すと、中から出てきたのは安産祈願と書かれたお守りだった。
「もしかして、買ってきてくれたの?」
灯は何も答えない。
でもそれは、灯の照れ隠しなんだと思った。
嬉しくなった私は貰ったばかりのお守りを抱きしめると、改めて「ありがとう」と伝えて灯を見上げた。
そうしてそのあと看護師さんに灯が来たことを伝えたら、予定よりも一時間早く主治医の志村先生と森先輩から現状についての説明を受けられることになった。