不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 

 一回試してみて、私とは身体の相性が悪いと感じて嫌になったとか?

 残念なことに私は灯と過ごしたあの夜での出来事が初めての経験だったから、その辺りのことはよくわからない。

 なんて、そんなことを考えていたら駅のホームに電車が入ってきたので、私は顔を上げると人混みを避けながら乗り込んだ。

 ……色々、余計なことばかり考えすぎているからか、ここ最近、やけに眠いし身体が怠い気がする。

 心の中でため息をついた私は、そばのポールにもたれかかった。

 職場から家までたった一駅の移動なのに、気を抜いたらすぐに眠ってしまいそうになる。

 一昨日なんて、ちょっと目を閉じたつもりが熟睡してしまって、起きたときには八駅分も乗り過ごしていた。


「ふぅ……帰ったら、すぐにお風呂に入って寝よう」


 無事に最寄り駅で電車を降りた私は、改札を出ると改めて時刻を確認した。

 灯は今日も帰りは遅いと言っていたし、食事は簡単に作れるものを用意して済ませてしまおう。

 いつも通り行きつけのスーパーに立ち寄った私は、必要なものを一通り買ったあとに惣菜のコーナーを覗いた。

 日替わりのメニューなどもあって、レシピの参考になるので勉強も兼ねて物色しに行くのが習慣になっているんだ。

 
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