不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「え……っ」
だけど惣菜コーナーに近づいたが最後、急に嫌な感じがして足が止まった。
何故か、胃がムカムカする。いつもはいい匂いだと感じる食べ物の匂いが、なんだか気持ち悪く感じて料理を見る気になれなかった。
やっぱり……体調が悪いのかな。
我慢できなくなった私は回れ右をすると、カゴの中に入っている商品だけを買って帰宅した。
結局、その日は食欲がないどころか、とても料理なんて作れる気がしなくてお風呂に入るとすぐにベッドに潜り込んだ。
灯には一応、体調が悪いことと夕食の準備ができていないことを謝るメッセージを送ったけれど、眠る前までに既読マークはつかなかった。
「はぁ……なんだか身体も火照ってる気がするし、風邪かな」
静かな家の中で独り言をこぼすと、急に心細くなってくる。
体調を崩すのは久々だから、つい弱気になっているのかも。
もし、明日起きて悪化してたら、朝イチで病院に行かないと。幸い明日は遅番出勤だから、午前中はフリーだ。
万が一、風邪だった場合はお客様やスタッフに移してしまう可能性もあるから、お医者さんの判断次第で米田さんに確認しよう……。
と、あれこれと考えているうちに眠気が襲ってきて、私はいつの間にか寝てしまっていた。
「ん……っ、う……気持ち悪い……」
そして翌日、私は今までの人生で一番と言っていいほど目覚めの悪い朝を迎えた。
身体の中心でぐるぐるとした気持ち悪さが巡る嫌な感じがして目が覚めたのだ。