不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「とりあえず、処方する胃腸炎のお薬は妊婦さんでも飲めるものをお出ししておきますね。あと、もしも妊娠の有無をハッキリと確認したい場合は、早めに産婦人科に行かれることをオススメします」
先生からは「お大事になさってください」と言われてフラフラと診察室を出たことだけは覚えているけれど、そのあとのことはぼんやりとしか記憶にない。
お会計を済ませて病院を出たあと、私は覚束ない足取りで近くにある処方箋も受け付けているドラッグストアへと向かった。
「こちらで処方箋を受け取られるのは初めてですね。先に問診票にご記入いただいてもよろしいですか?」
受付をしてくれたのは、三十代半ばくらいの女性薬剤師さんだった。
問診票を手渡されて記入欄を見たら、やっぱり妊娠中かどうかを確認する欄があってドキリとした。
これまではなんの意識もせずに【いいえ】に丸をつけてきたけれど、今は安易に丸をつけることができない。
「お薬、すぐにご用意できますので、そちらにお掛けになってお待ちください」
「あ、あの……っ」
「はい、どうされましたか?」
不安がピークに達した私は、思い切って薬剤師さんを呼び止めた。
「に、妊娠してるかどうかを確認したいんですが、こちらのドラッグストアに検査薬って置いてありますか?」
つい一ヶ月半前まで経験のなかった私でも、妊娠検査薬の存在くらいは知っている。でも、実際に購入するのは初めてだった。
唐突な私の問いに、薬剤師さんは一瞬だけ虚をつかれたような顔をしてから、すぐに表情を和らげた。