不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「も、もしかして、私が体調不良で仕事を休んでるって聞いて、急いで帰ってきてくれたの?」
「……当たり前だろ。この家で牡丹に何かあったときに、助けられるのは俺しかいないんだから」
これまでの私だったら、皮肉った答えとして受け取ってしまっていたかもしれない。
でも今は、ひとりで抱えるには大きすぎる不安と問題を前に、灯が見せてくれた優しさがどうしようもなく嬉しくて、すがりたくなった。
「それで、病院には行ったのか?」
「うん。ちゃんと……行ってきたよ」
「それで、どうだった? 処方された薬は飲んだのか?」
すぅ、と小さく深呼吸をした私は、お腹に手を添えたまま思い切って顔を上げた。
「私、妊娠してるかもしれない」
「……は?」
「病院に行って先生と話してたらその可能性を指摘されて……。それで、帰りにドラッグストアで妊娠検査薬を買って検査したら陽性だったの。まだ産婦人科に行って診てもらったわけじゃないから一〇〇%とは言えないけど、多分私、灯との子供を妊娠してる」
そこまで言うと私は、真っすぐに灯を見つめた。
灯は目を見開いたまま固まっていて、言葉が出てこない様子だった。
というか、こんなに驚いた顔をしてる灯を見たのは初めてかもしれない。
なんて思っているうちに、灯はハッと我に返ると突然鞄の中から携帯電話を取り出して、徐にどこかに電話をかけ始めた。