円城寺家のイケメン探偵 ~脅迫状に込められた思い~
『…どうしてそんなこと…ち、違いますよ。このネックレスは、私の友達からもらったものですから…』


必死でそう否定した山口先生の顔は引きつっている。


私は…


「今回は本当に成功して…」


と強く願いながら、山口先生に近づいた。


そして…


先生の肩にそっと触れた。


『お願い…』


その時…


私の中に、いつもにも増して勢いよく「あの感覚」が流れて込んできた。


急にグッと体が固まる。


すごく重い空気感に潰されそうになった。


山口先生と佐々木先生…?


2人が楽しそうに笑う光景…


首にはペアのネックレス。


なのに、次の瞬間…


その光景がぐちゃぐちゃに歪んでしまった。


息が苦しくて…


私は、思わず先生から手を離した。


『紬、大丈夫か?』


凛音が、優しく声をかけてくれた。


『…う、うん。大丈夫』


私はゆっくり吸ったり吐いたりして、呼吸を整えた。
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