今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
穏やかな笑みを浮かべている彼を穴のあくほど睨んでいた。


「でもさっき寝言で言ってた」


「うーん、おかしな夢でも見てたのかな」


彼は天井を見上げてフワッとあくびをする。


何かを隠そうとしているのか、ほんとに身に覚えがないのか。


どちらか必死で見極めようとした。


「そんなに見つめられたら照れるよ」


冗談ぽくそう言ってから、じいっと見つめ返してくる彼。


目が合うと頬が緩んだ。


こうして彼の顔をまともに見ることが出来るのは久しぶり。


端正な顔は相変わらずだけど、少し痩せたような気がする。


目の下にうっすらとクマが出来ているのはきっと睡眠が足りていないせいだ。


「ちゃんと話すの久しぶりだね」


「そうだよな。チー、毎日寂しい思いさせてごめん」


彼は申し訳なさそうに謝ると私の手をそっと握ってきたので、胸の奥がキュンと鳴った。
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