今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「ごめん、そうなるかな。
でも、俺はいつもチーのことを想ってるよ」


「……」


「俺だってほんとはもっとずっと一緒にいたい」


ズルい、そんな甘い言葉。


そんな風に言われたら、文句なんて言えない。


言いたいことをグッと堪えて頷いた。


だけど私に対しての気持ちが揺らいでいなくて、ちょっと安心した。


「チーが好きだよ」


「う、うん」


こんな真っ直ぐな眼差しで見つめられると恥ずかしいけどやっぱり嬉しくなる。


「お兄ちゃん」


甘えるように彼の腕にしがみつくと、かすかに笑われた。


「チー、可愛いな」


「ほんとにどこにも行かないよね?信じていいよね?」


「まだ言ってるの?大丈夫だよ」


私の頭をクシャッと撫でてから、優しく微笑する彼。


え、どうして?


「……」


その笑顔を見て私は小さく息を吐いた。


「……うん」


翔くんの嘘つき……。


翔くんは私のことをいつまでも子供だと思っているのかな。

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