あいにくですが、エリート御曹司の蜜愛はお受けいたしかねます。
Chapter15*ラスボスは、地下(ダンジョン)ではなく最上階にいる。
[1]
急いで服装と髪を直し、なんとか不自然ではない程度には体裁が整った。
CEO室はこの部屋のひとつ上、最上階にあるという。そんな説明を聞きながら、アキがCMO室のドアを開けた時。
「あっ、」
「お待ちしておりました」
ドアの向かい側に立つ背の高い男性がそう言った。
がっちりとした広い肩の上にある小さな顔。奥二重のスッキリとした目元は、まったくもってニコリともしない。
鉄仮面統括だ…!
口を開かずにそう叫んだわたしに、高柳統括は一瞥をくれた。
に、睨まれた……?
何を言われるかとビクビクしたものの、彼は軽い会釈をくれただけで何も言わない。とりあえず叱られなかったことにホッとして、わたしも会釈を返しておく。
すると、アキの方が口を開いた。
「迎えに来てもらわなくても、CEO室くらい自分で辿り着けますが」
御曹司モードの上品な口調でも、ドラネコモードの軽やかな口調でもない。温度の低い声。
あ、これ……不機嫌モードだわ。
いくら“お邪魔虫”を喰らったからって、高柳統括に当たらなくても―――。
半歩前にある横顔を見上げながら、彼を諫めるべきか悩んでいると、統括さんが先に口を開いた。
急いで服装と髪を直し、なんとか不自然ではない程度には体裁が整った。
CEO室はこの部屋のひとつ上、最上階にあるという。そんな説明を聞きながら、アキがCMO室のドアを開けた時。
「あっ、」
「お待ちしておりました」
ドアの向かい側に立つ背の高い男性がそう言った。
がっちりとした広い肩の上にある小さな顔。奥二重のスッキリとした目元は、まったくもってニコリともしない。
鉄仮面統括だ…!
口を開かずにそう叫んだわたしに、高柳統括は一瞥をくれた。
に、睨まれた……?
何を言われるかとビクビクしたものの、彼は軽い会釈をくれただけで何も言わない。とりあえず叱られなかったことにホッとして、わたしも会釈を返しておく。
すると、アキの方が口を開いた。
「迎えに来てもらわなくても、CEO室くらい自分で辿り着けますが」
御曹司モードの上品な口調でも、ドラネコモードの軽やかな口調でもない。温度の低い声。
あ、これ……不機嫌モードだわ。
いくら“お邪魔虫”を喰らったからって、高柳統括に当たらなくても―――。
半歩前にある横顔を見上げながら、彼を諫めるべきか悩んでいると、統括さんが先に口を開いた。