私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない

2.揺れる心




 今はカフェ閉店後の片付けをしている。


「店長」


 そのとき。
 亜南くんに声をかけられた。


「昨日、店長の同級生の方がいらっしゃいました」


「同級生って……」


 もしかして。


「はい、その方です」


 松尾が。
 この店に……。


 そういえば。
『店に行く』
 そう言っていた。

 本当に来てくれたんだ。


「松尾様は店長のことを訊かれていました」


 せっかく来てくれたのに。
 すれ違っちゃった。


 って。

 私……。
 がっかりしている……?

 なんで、こんなにも……。


「ありがとう政輝くん、教えてくれて」


「そんなこと、いいですよ。
 ……正々堂々としたいので」


 ……?

 正々堂々と……?

 それはどういう……?


「そういえば、政輝くん、『松尾』って。
 名字、知ってるんだ」


「昨日、少しだけ話をしまして」


「そうなんだ」


 話……。

 一体何を話したのだろう。

 ……少しだけ……気になる……ような……。


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