お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
いろいろと頭をフル回転させていれば。
「珍しいですね。お嬢が熱でもないのに俺の膝の上に座るなんて……。そんなにお嬢もきゃっきゃうふふしたかったんですか?」
彼の右腕がわたしの腹部あたりにまわってきて、うしろから聞こえてきた声。
顔が熱くなって、心臓がさらに加速するから、落ちつけるためにアイスを口へと運んでうなずいた。
「素直ですね。自分から膝の上に乗ってきたのに顔を赤くするところも、ぜんぶとっても可愛いですよ」
その言葉に、どんどん上がる体温。
口の中へとアイスを入れればすぐに溶けてなくなってしまう。
もう……限界だ。
心音が聞こえちゃう、心臓が壊れちゃう、顔が熱い!
「あ、碧──」
『もうおりるね』と伝えようとした時だ。
「やっぱ、茉白ちゃんと碧くんだった」
こちらに近づいてきた人物。
ミルクティー色の髪の──健くん。