お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
なんだか、健くんをすごく久しぶりに見た気がする。
……いや、気のせいじゃないや。
そういえば健くんは、中間テストの前から学校を欠席していたんだっけ。
何週間も休んで、どうしたんだろう。
風邪……ひいてるようには見えないし、ひょっとしてサボり?
って!!
思いっきり碧の膝の上に座ってるところ見られた!!
わたしはすぐに碧の膝の上からおりて、背筋を伸ばす。
「なんの用じゃ、クソ猿」
健くんが来て、いかにも不機嫌そうにする碧。
「倉庫がこの近くでさ、さっき顔出してきたとこなんだ。ここの公園は日陰があって気持ちいいからよく昼寝しに来るんだよね。そんで、なんか堂々とイチャイチャしてるカップルいるな~って思ったら、茉白ちゃんと碧くんでびっくりした!
もしかして、デート中?」
不機嫌そうにする碧が見えないのか、気にしていないのか……。
健くんはわたしと碧の顔を交互に見る。
倉庫……って?
っていうか、で、デート……。
デート、なんだけど……!
人に言われるのはなんだかすごく恥ずかしい。
「デート中だからさっさと猿山に帰れ、クソ猿」
碧はさらっと答えると、しっしっと健くんを追い払う。
でも、健くんはにやにやとするだけでいなくならない。