お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「あ~、茉白ちゃんのチョコミントアイスだ。ひと口ちょーだい」
持っているアイスに気づいて、健くんはお願いするようにじっと見つめてくる。
そんなに食べたいのかな……。
チョコミントアイス、美味しいもんね。
スプーンでひと口分アイスをすくって、健くんに渡そうとすれば、口を開く。
食べさせろってこと、かな。
そのスプーンを健くんの口へと運ぼうとすれば──。
腕を急につかまれ、引っ張られて。
ぱくり、とそのアイスを食べた碧。
……な!?
た、食べた!?
碧、チョコミント嫌いだよね!?
「碧くんが横取りしたー」
いけないんだー、と碧を指さす健くん。
碧はアイスをもぐもぐと食べて、わたしの手を離すと健くんを睨んだ。
「お嬢のアイスはおまえなんかに渡さねぇよ」
「碧くん、碧くん、それってひょっとして~独占欲?」
からかうように健くんが言った、すぐあと。
急に、立ち上がった碧。
乱闘が起きるかも……!
なんて不安に思ったが……碧は、うしろを振り返って。
なんだか、すごく殺気立っていた。