双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 公佳と一緒にリビングを見渡しても、まだどこか他人の家のような気がしてしまう。でもテレビ台や棚には、この前四人で出かけた時に撮った写真が飾られていて、他にも双子が描いてくれた私と優星君の絵が飾ってある。

 そういうものを見ると、ここが私たちの暮らす家なのだと思えてくる。これからも家族のものが増えていくたびに他人の家だとは思わなくなるのかもしれない。

「妊娠したから仕事を辞めて栃木に行くって聞かされた時は、突然のことになんて言葉をかけてあげたらいいのかわからなかったんだ。でも私の願いはただひとつ、星奈には幸せになってほしかった」

 しみじみと話しながら星奈は柔らかい笑みを私に向けた。

「叔父さんの家で星斗君、星七ちゃんと暮らす星奈は幸せそうで、色々な家族の形があってもいいと思ったの。でもそれは間違いだったね。今の星奈のほうが、ずっと幸せそうだよ。……本当によかった、香坂さんとうまくいって」

 ほんのりと公佳の目が赤く染まっていく。
 公佳はいつだって心配してくれて、無条件で私の味方でいてくれた。どれだけ公佳の存在に助けられてきただろうか。

 栃木に引っ越してからも頻繁に連絡をくれて、会いにも来てくれたよね。そんな公佳には一番に優星君と一緒に暮らすと決めたことも、そして思いがけず想いを告げ、気持ちが通じ合ったことも伝えた。

「好きなくせに、ちゃんと好きって言わずに一緒に暮らすって聞いた時は、順番が逆でしょ!って突っ込んじゃったけど。……そうだよね、好きな人がそばにいるのに気持ちを隠すことなんて不可能だよね」

 公佳は途中からニヤニヤし出した。
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