双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 いずれは伝えなくてはいけないことだけれど、今はまだふたりに悲しい思いをさせたくない。
 小さく深呼吸をして私はふたりを交互に見た。

「あのね、星斗と星七のパパは今、お仕事で遠くにいるの」

「とおく?」

「そうなの。ちょっと待っててね」

 急いで寝室へ向かい、タンスの奥にしまってあった優星君との思い出を詰めた箱を取り出した。
 その中にはふたりで撮ったたくさんの写真もしまってある。アルバムを手にして戻り、ふたりに見せた。

「ほら、これが星斗と星七のパパだよ」

 興味津々でアルバムを覗き込んだふたりは、目をキラキラさせた。

「うわぁー、せなのパパイケメンだぁ」

 やだ、星七ってばいつの間に〝イケメン〟なんて言葉を覚えたのだろうか。

 可笑しくてクスッと笑ってしまった。

「かっこいい……! せいともパパみたいになる?」

「そうだね、星斗も大きくなったらパパみたいにかっこよくなるかも」

「やったー!」

 無邪気に喜ぶふたりに笑みがこぼれる。

 今はまだ真実を告げなくてもいいよね。ふたりが理解できる年齢になったら包み隠すことなくすべてを話そう。星斗と星七には知る権利があるもの。

「パパもっとみたい!」
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