双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
「いいけど、ご飯を食べ終わってお風呂に入ってからね」

 私が言えばふたりは声を揃えて「はーい!」と元気よく返事をした。

 この日の夜、いつもは布団に入ったら絵本を読んでと言うふたりが、遅くまで優星君の写真を眺めていた。
 その姿を見て私は心が痛くてたまらなかった。


「そっか、星斗と星七がそんなことを……」

「きっとお友達のパパを見て、自分たちにはいないことを不思議に思ったんでしょうね」

 次の日の休憩時間。牧場のレストランで昼食をとっている際に、私は明叔父さんと佳代さんに昨夜の出来事を話した。

「咄嗟にまだ本当のことは話したくなくて、仕事で遠くにいるなんてベタなことを言っちゃいましたけど、それでよかったのでしょうか?」

 両親とは絶縁状態の私にとって、ふたりが本当の両親のような存在。普段からどんな些細なことも話し、こうして相談している。
 今回もどれが正解だったのかわからなくて聞くと、ふたりは顔を見合わせた後、真剣な面持ちで言った。

「俺は間違っていないと思うぞ」

「私もよ。だってふたりはまだ二歳になったばかりですもの。本当のことを話したところで理解できないでしょうし、それよりも自分たちには父親がいない事実を悲しく思うかもしれないもの」

 ふたりも自分と同意見だと知ってホッと胸を撫で下ろす。
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