双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
 そろそろ寝なくてはいけないとわかっていても、信じられなくて繋がらない番号へかけ続けた。だけどどんなにかけたところで、聞こえてくるのは同じ機械音だけ。

 はじめはこまめに連絡を取り合ってきた。だけど徐々に星奈から仕事が忙しいと言われるようになり、時差もあることから電話をする回数が減っていた。

 いつからかメールのみのやり取りとなったものの、俺も新たな環境で仕事を覚えることに精いっぱいで、そのメールでさえ返信を怠るようになっていった。

 それでも星奈とは気持ちが繋がっている、仕事が忙しいのは彼女も同じ。そんな星奈の存在を心の拠り所にして俺は朝から夜遅くまで仕事に明け暮れた。
 その結果がこれなのかもしれない。

 電話をかけるのを止め、ソファの背もたれに体重を預けた。そのまま手を仰ぐ。

俺に愛想が尽きたのか? それとも他に好きな人ができた?

 少なくとも俺はあと半年は日本に戻ることができない。そんな俺より、身近にいる相手に心を奪われた?

「いや、星奈に限ってそんなことあるわけがない」
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