双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
「三年前、優星のために身を引いた聞き分けのいい子だと思ったら大間違いね。まさかこっそりあなたとの子供を身籠り、出産していたなんて」

 やはり母は星奈のことを知っていたんだ。そして星奈が急に俺との連絡を断ったのは、母のせいだったのか?
 言葉が出てこない俺に、母はとげとげしい声で続ける。

「いいえ、もしかしたらあの双子はあなたの子供ではない可能性があるわ。子供を口実にうちの財産を横取りしようとしているのかも」

「……っ! なにを言ってっ」

 星奈がそんなことをするわけがないだろう。いくら母でも星奈を侮辱することは許せない。
 怒りに身を任せて立ち上がり、声を荒らげた俺に対して母は至って冷静だった。

「向こうはあなたに子供を認知しろと言っていないのでしょう? だったらもう二度と会ってはダメよ。……今日で最後にしなさい。何度も会って子供に情が沸いたら大変だわ」

 自分の母親ながら、人はここまで冷徹になれるんだと怖くなるよ。星斗と星七は母にとって孫だろ? それなのに、情が沸いたら大変だとかよく言えるな。

 そんな母に感情的になったらだめだ。
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