13番目の恋人
「じーさんとか、親父に任せると、だな。“昭和の男前”みたいなの、連れて来そうだろ? 古臭いっちゅーか、まだ俺の方が年が近い分、わかってやれるかなあと」
 
「……何の……話し?」
「あー、そうだ……恋愛は出来たのか?」
 隠しても仕方がないので、うん、と頷く。
 
「納得、出来るか?」
「しなきゃ、と思ってる。どこかで区切らないと、いつまでも恋愛してられないのは知っているし、こんな時間を貰えて良かったと思ってる」
「ん、そうか。お前の結婚相手を見つけてきた。……いい男だと思う。いや、これ以上はいないだろう」
「そっか」
「……話、すすめて、いいな?」
「うん、でも早くない? 25歳までにって……」
「ああ、あちらに急ぐ事情があってな。どのみち、顔を合わせるのは年明け、早くて2月ってとこだろうな。結婚するとしても再来年だ。お前が25歳になる年だ。一年かけて準備をというこちらの意向は表向きで、仕事、まだ辞めたくはないだろ? 婚約期間は続けられるはずだ。それ以降は、向こう次第だな」
 
 恐らく、色々と条件は出されたのだろうが、兄が何とか私の気持ちを汲んで、交渉してくれたのだろう。とてもじゃないが、嫌だとは言えなかった。
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