13番目の恋人
 これがタイミングというものなろだろう。私と、頼人さんの。
 
 クリスマスはブッシュ・ド・ノエルでも買おうか、なんて話してしたのにとても、叶いそうもない。
 
 クリスマスプレゼントは、身に付けられる物をお揃いで買おうか、なんて高校生みたいな事を言っていたけれど、それだってとても叶いそうもない。
 
 それは、彼が忙しすぎるからではなく、いくら忙しくても、“部屋で待ってて”と言われなくなってきていたからだった。
 
 そんな遅い時間に帰る彼を、家で待ってるからこそ作れた二人の時間が、少しづつ減ってきているからだ。
 
 会いたいと、そう思うのが、私だけになってきたからだろう。それを責めるつもりはない。最初からわかっていたことだ。お互い結婚は別の人とする。そう決めていた。
 
 それでも悲しいと思うのは、どうしてだろう。会社で見かけた彼が、困ったような顔で目を逸らす。
 
 こうやって少しづつ、彼も区切りをつけているのかもしれない。私にも区切りをつけやすくしてくれているのかもしれない。もう少しすれば、こうやって会社で見かけることも無くなるのだ。
 
 私も、彼から目を逸らし、そう思った。
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