魔女は今日も、忙しく恋する!
 皆の食事が済み寝る支度を整え、明け方近くにまたコウモリを寝床に呼んだ。

「ローゼは素敵だよ…?俺はローゼが好きだよ…」

 人間の姿のコウモリを、今夜も抱きしめる魔女。

「っ…はいはい、分かったからっ…。ああもう…!」

魔女はいつも以上にコウモリを強く抱き締めた。


 それからも毎日、彼女はインキュバスのもとへ行き、今度は小細工なしの贈り物を渡したり、魔法で空や空気に美しい絵を描いて見せたりした。
 けれどやはり相手にされなかった。

「…ダーク、私には魅力がないの?…人間の方がいいの…?」

 インキュバスは笑って言う。

「なぜ君が俺に固執するのかわからないよ」

「私は…!」

魔女が言おうとすると、彼は気付く。

「そういえば、君からは獣の臭いがするね」

魔女は言われてすぐに気が付いた。

(獣…コウモリの匂いだわ…!毎晩抱き締めているから…でも、私は必ず匂いがしないようにしているのに…!)

「ペットでもいるの?消してから来ているつもりなのかな?慣れすぎて、臭いに気づかないのかもね」

「ごめんなさい…もっと、気を付けるわ…!だから…」

 思わず恥ずかしさに下を向く。
 しかし、

「いいんだよ。君のことは嫌いじゃないよ?綺麗だしね。でもね、俺はいろんな子と遊びたいからなぁ…」
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