娘は獣の腕の中
獣との交わりは何日かに一度だった。
しかし、何日経っても娘にはわからない事ばかりだった。
(なんだか…獣さんはわざと私に嫌われるようにしてるような……)
獣は娘を遠ざけようとするような時があった。
冷たい言葉で悲しませ、どんなに泣きじゃくっていようとその身体を奪った。その反面、殺そうとしたのを自分で制止しようとしたり、優しく抱きしめようとしたり…。
それから、獣は昼間は外にいて、必ず夜には男の家に戻ってきた。娘には獣が昼間に外で何をしているのか、もちろんわからない。
もう一つ分からないのは、獣が食べている食事のことだった。
(ご飯を食べに出かけているのだと思っていたけど…でも獣さんから、血なまぐさいにおいなんてしたことない…。肉食のはずなのに…。私とご飯を食べたこともないし…一体何を食べているんだろう…)
娘はふと、幼い頃に、愛する男とした話を思い出した。
『あ、キレイなお花!』
『ティア、むやみに取るのは良くない。』
『こんなにキレイなのに??』
『小さくても生きているから。こんなにキレイなのも、生きてるからだよ。獣や魚もそう、食べる分だけな。食べるときも、よく感謝しなくちゃ。ありがとう、って。』
『うん、わたし、食べるときにありがとうって言うね!』
『ティアはいい子だね…お前もそうだよ、俺、笑ってるティアが好きだ。だから、生きて、いつも笑ってて……』
(私が小さい時から、しっかりしてて優しいお兄ちゃん…生き物への感謝も教えてくれた…。私に、生きて笑ってて、って…。私、頑張って生きていかなくちゃ……)
しかし、何日経っても娘にはわからない事ばかりだった。
(なんだか…獣さんはわざと私に嫌われるようにしてるような……)
獣は娘を遠ざけようとするような時があった。
冷たい言葉で悲しませ、どんなに泣きじゃくっていようとその身体を奪った。その反面、殺そうとしたのを自分で制止しようとしたり、優しく抱きしめようとしたり…。
それから、獣は昼間は外にいて、必ず夜には男の家に戻ってきた。娘には獣が昼間に外で何をしているのか、もちろんわからない。
もう一つ分からないのは、獣が食べている食事のことだった。
(ご飯を食べに出かけているのだと思っていたけど…でも獣さんから、血なまぐさいにおいなんてしたことない…。肉食のはずなのに…。私とご飯を食べたこともないし…一体何を食べているんだろう…)
娘はふと、幼い頃に、愛する男とした話を思い出した。
『あ、キレイなお花!』
『ティア、むやみに取るのは良くない。』
『こんなにキレイなのに??』
『小さくても生きているから。こんなにキレイなのも、生きてるからだよ。獣や魚もそう、食べる分だけな。食べるときも、よく感謝しなくちゃ。ありがとう、って。』
『うん、わたし、食べるときにありがとうって言うね!』
『ティアはいい子だね…お前もそうだよ、俺、笑ってるティアが好きだ。だから、生きて、いつも笑ってて……』
(私が小さい時から、しっかりしてて優しいお兄ちゃん…生き物への感謝も教えてくれた…。私に、生きて笑ってて、って…。私、頑張って生きていかなくちゃ……)