君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


「もう少し休んだほうがいい」


 靴を脱ぎ玄関を上がって、そのまま舞花を寝室に連れていく。


「公宏さん、もう大丈夫ですよ」

「一応だ。言うこと聞く」


 舞花は俺の言葉に「はい」と渋々ベッドに上がっていく。

 横になり、ベッドサイドに腰掛けた俺をじっと見つめた。


「公宏さん……? 何も、訊かないんですか?」


 恐る恐る、訊こうか訊くまいか。舞花はそんな調子で問いかけてくる。

 どこか思い詰めたような表情なのはそのせいのようだ。


「舞花が話したいことがあるなら聞く。でも、話したくないなら無理には聞かない」


 無理強いはしないし、舞花の心にこれ以上負担はかけたくない。

 舞花はぼんやりと天井に視線を向け、何か思い出すように一点を見つめる。

 そしてまた俺の顔に視線を戻し、静かに口を開いた。


「話があるって、園まで訪ねてきたみたいで……私に、話を聞く気はなかったんです。でも、最後に言いたくって、言ってやりたくて……今、私はすごく幸せだって」

「舞花……」

「でも、でも……目の前が急に暗くなって、倒れたみたいで……何も言えなかった」


 悔しそうに唇を結んだ舞花を、腰を浮かし思わず両手で抱きしめる。

 上体を起こした舞花のほうからも俺を抱きしめ、しがみつくように力がこもった。

< 204 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop