浮気 × 浮気


連れてこられたのは、もうすっかり日の落ちた暗い空の下だった。

人通りもなくシンとした駐車場には、まだ少し冷たい風が吹いている。

そんな静寂な空気を先に破ったのは、秋本さんの冷徹な声だった。


「会社に明里が事故に遭ったと連絡があった。山下とお前が早退した後に、だ。それなのに…なんで明里が事故したことをお前は知っている?」

「それは!」

「山下雪と何かあるのか」


俺の言葉を遮るようにして言葉を放つ秋元さん。その核心をつく質問につい口を閉ざす。

なんて言えばいいのか…分からなかったからだ。


しかし、秋本さんはその間を許さなかった。


勢いよく俺に掴みかかると、俺を怒鳴りつけた。


「山下雪はどこだ!!お前知ってるんだろ!お前らが全部仕組んだんだろ!!!」


秋本さんの目は、怒りに満ちている。

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