ねえ、気づいてよ……
〜怜side〜


長い、夢を見てる気分だった。


「れいくん、おきて?」


小さな子供が俺に語りかけてくる。


「れいくんがいないと、すずね、さみしくてしんじゃうよ」


そうだ、小さい頃の涼音だ。


安心させてやりたいのに、言葉が出せない。


「れいくん、すずねはずっと大好きだよ」


高校生の涼音から、直接聞きたかったな。


「じゃあね、すずねは、ずっと待ってるからね」


暗い道を、小さい涼音は走っていく。


追いかけようと駆け出したところで、強い光を感じた。
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