ねえ、気づいてよ……
「あ、2人に言わなきゃいけないことがあるの」


真剣な怜のお母さんの声に、緩んでいた頬を引き締める。


怜も、同じみたいだった。


「怜、あなた、自分で脚の状態、わかるわよね?」


「え、脚?」


驚いて、怜の布団の中を見る。


包帯で巻かれた脚が見えた。


「え、そんな......」


何を言われるか、想像がつく。


「サッカーが、できなくなるかもしれない。って、言われたわ」


「......は?」


困惑した、怜の声。


「ごめんなさい、涼音ちゃん。気にさせるようなこと言って」


「いえ、いずれ、知ることになると思いますし......。ほんとに、出来なくなるんですか?」


あんなに、好きだったのに。


「いいえ、リハビリ次第ではできるようになるそうよ。ただ、とてつもない苦痛が伴うわ」
< 262 / 272 >

この作品をシェア

pagetop