離してよ、牙城くん。


いみわかんない!


やだよ、わたしのうるさい鼓動、聞こえちゃうよ。



わたしの気持ちもつゆ知らず。

自然と顔を近づけてくる牙城くんに、頰が熱くなって、……よけいに頭が冴えてしまい。





「ていやっ」



なんとか力を振り絞って、牙城くんの腕から抜け出した。




無事、帰還。



心を落ち着かせて深呼吸。


牙城くんといるのは、しんどいの。



血の巡りがよすぎて、熱くなって、どうしようもなくなるから。






「力なさそーなのに、案外あるよね」


くすくすと笑う牙城くんをキッと睨む。




「わたし、合気道習ってたもん」



なめないでね、そう思って伝えたけれど。




「あいきどう……似合わねー……」


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